トランクヒンジの奥の奥から出てきた、
何十年も陽の光を浴びていなかった純正カラーをお手本に全塗装いたしました。

その際、コーニッシュクーペのウィークポイントであるフロアも補強。
ついでに天井のウールも全張替いたしました。

前オーナーの時代から長く弊社で整備を行って来ました。
よく''ロールス・ロイスは運転する車じゃない''と力強く訴える方がいらっしゃいますが...
どうしてこんなに楽しくて、オーナーに訴えかけてくる車を運転せずにいられるでしょうか。
創業者のヘンリー・ロイスも自分で運転していたじゃないか!
ロールス・ロイスは決してショーファーの為だけの車じゃない。
ですが・・・
大きくて長いボディに堂々とスピリット・オブ・エクスタシーがついていれば、
オーナーでなければショーファーだと思われてしまう気持ちもわかります。
(しかし、我々は本当に愛しくて楽しくて運転してるので温かい目で見守ってください。)

ところが、ご紹介のコーニッシュクーペは2ドアサルーンの絶対的なドライバーズカー
''あの''ロールス・ロイスに回転計がついているのです。
絶対的な人気が出た屋根開きのコーニッシュに隠れ、1981年にひっそりとラインナップから外れたコーニッシュクーペ。
現代で言えば、レイスにあたるモデルとなります。
1971年の価格表は、
・Silver Shadow saloon £9,925
・Corniche two-door saloon £12,829
スタンダードモデルのシルバーシャドウの実に約1.3倍の新車価格。
非常に手間のかかる作業を重ね一台一台製作されていました。
目に見てわかる箇所はもちろん全て溜息が出るほど美しく仕上げられています。
磨きあげられた深みのあるメッキパーツから、上質なコノリーで仕上げられた艶としっとりとしたボリュームがあるシート縫製や上級グレードのキルトの映えるウッドパネルは説明不要でしょう。
実は、見えないところこそ良く作りこまれています。
ボディの塗装を全て剥がした時、このモデルの魅力がグッと深まります。
これです!
(と、ここで写真を用意しようと思ったのですが見つかりませんでしたので
ミュージアムに展示している下地剥き出しコーニッシュクーペ君を拝見しに来てください!)
ボディ各部にスポット増ししたレーシングカーの様な数のスポットが打たれています。
こんなの利益が出る訳がない...
それにメーカーモデルにラインナップされていた市販車ですよ一応...

ここまでの作りこみがされた車がこの価格で購入できる現代に感謝。
そして、次の世代、その次の世代までこの技術遺産を継承しなければいけません。
でも、よく考えてください?
車なのですよコーニッシュクーペは。
こんなに作りこまれていて美しい芸術作品が、動いて思うがままの場所へ一緒に移動できちゃうんですよ。
なんて贅沢な生活が送れるでしょうか。

我々は、この時代の''ロールス・ロイス特有の乗り心地''が、良くわかる映像の撮影に成功しました。
https://x.com/wakuimuseum/status/1949810499098689743